銀杏
うまくはぐらかされたみたい。
モヤモヤする。
ブスッとして窓の外を眺めていると、「なあ。」と呼ばれた。
「お前やんねえの?だったらちょっと手伝えよ。」
「…やだ。自分でやって。私も理科の宿題やるもん。」
「ちぇーっ。」
二人で二時間、黙々とやり続けた。
「あー疲れた。ちょっと休憩。」
ストローをくわえてジュースを飲んだ。
「もうすぐ学校かあ。行きたいような、行きたくないような。」
「あのね尊、話があるんだけど。」
「何だよ?」
「水泳大会の前日に友美が来たって言ってたじゃない。何の用事があって来たか知ってる?」
「だからそれは俺たちが喧嘩して咲が落ち込むのを見てられない…て。そう言ったじゃん。」