銀杏
「尊の前でなら意地悪も言いづらいでしょ?それに先輩って仲のいい人、コロコロ変わらない?」
「うーん、そう言えばあんまり長続きしないかな。」
「だったら好都合。私たちが友だちになればいい。」
「友だち!?咲、気は確か?」
友美は信じられないといった顔で咲を見る。
「だって考えてみて。小さい時から『お父さん』という鎖に縛られてきて、離婚で解放されたんでしょ。自由にできなかった自分と、のびのびと育ってきた友美を比べて、羨ましくなるのは当然だよ。
ぬいぐるみを盗ったのも、今彼女が欲しいと思うものを手に入れようとするのも、それができなかった反動だと思う。
気に入らない人を排除しようとするのも、独占欲の表れだよ。
だったら仲良くすればいい。
一人が友だちになるんじゃなくて、みんなで友だちになるの。
そしたら一人に攻撃することもなくなるんじゃない?」