銀杏
通じる心
〈尊side〉
「咲、ちょっと。」
尊は咲を部屋に呼んだ。
「お前、本当に先輩と仲良くするつもりか?」
「うん。」
「今まで色々言われたんだろ?
俺だって咲のことで嘘吐かれたんだし。
何で根っからの悪い人じゃないなんて思えたんだ。
本当のとこはどうなんだよ。」
「簡単なことだよ。」
「?」
「去年、体育館の裏に制服が捨てられた後、それっきり今年もう一度なくなるまで何もなかったでしょ。あれ、きっと先輩がやったんだと思う。
本当に私のことが嫌いなら一度や二度で済むと思う?
多分、自分の存在を意識させるためにやったことだよ。
先輩自身はそれに気づいてないかもしれないけど。
それに友美はチューリップの茎を全部折っちゃったって言ったでしょ。
あれは先輩の心の叫びだと思う。
だって前の奥さんが好きだった花だよ?
再婚してお母さんや自分が傍にいるのに、それってどう思う?
自分たちのことをもっとちゃんと見て、愛してって言ってたんじゃない?
友美のせいにしたのも、怒ったおじさんと前のお父さんが重なって、自己防衛というか…いい子を演じたんだと思うよ。」