銀杏
咲は強くなった。もう昔の咲じゃない。俺がずっと傍にいなくてもやっていけそうだな。
俺の方がまだまだ咲から離れられないでいる。
もう少し俺のために傍にいてくれよ。俺も頑張るから。
新学期になって咲は早速行動に出た。
近くに先輩を見つけると声をかける。
「先ぱーい。こんにちはぁ。」
先輩は最初、自分に言われているとは気づかなかったみたいで、無視をされたと言ってた。
先輩がクラブに出た日は、「一緒に帰ろって言うから、引き止めといて。」と言う。
実際引き止めたところで、咲がやって来ると、「バカじゃないの?」と全く相手にされない。
友だちになろうという咲の気持ちは、なかなか通じることはなかった。
それでも根気よく咲の挑戦は続いた。