銀杏


気持ちを落ち着かせようとトイレの個室に入る。

用を足そうとした時だった。

あ…。

こういう時、どうしたらいいんだっけ?

オロオロとしている間にチャイムが鳴った。

教室に戻らなきゃ。でもこのままじゃ行けない。どうしよう。

誰もいなくなったトイレで個室から出ると手洗い場でしゃがんだ。




戻って来ない咲を探して尊が校舎内をウロウロ していた。あちこち探して最後は女子トイレにまで声をかける。

咲のところに尊がやって来た。

「何してんだよ、こんなとこで。教室戻るぞ。」

咲の腕を引っ張って立たせようとする尊。

「い…嫌ーっ!!う…えっ…えっ。」

尊が探しに来てくれたのが嬉しかった。でも尊に知られたくないという思いが混ざって、心の中はぐちゃぐちゃだ。

急に泣き出した咲に、尊はどうしたらいいのかわからなくて、「…先生呼んでくる。」と走って行った。




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