銀杏


新しい父親は前の父と比べても雲泥の差だった。
本当に優しくて、父親ってこんなに優しくて温かいものなのかと知った。

でもチューリップを眺める瞳は、母や私に向けられるものとは全く違った。

最初は何とも思ってなかった。
でも大切にする理由を知ってからは許せなかった。チューリップさえ憎らしく思えて、全部折って、花をぐしゃっと握り潰した。

そこに居合わせた友美の言葉は更にイラつかせて、いい子振る態度にカッとした。

継父の怒り様に実父と重なり、絶対に本当のことを言わないと誓った。

後になってみれば、私がやったとバレていたのだろう。あの友美が黙ってる訳がない。



私が気ままで独占欲が強いということがわかると、それまで友だちだと思ってた人たちは、徐々に離れていった。

そこでまた新しい友だちを作る。

でもまた離れる。

この繰り返し。




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