銀杏
第三章
進路
始業式。
今日から中学生活最後の年が始まる。
新しい制服に身を包んだ新入生が、まだぎこちない様子で登校してくる。
二年前、私たちもあんなだったんだなあと振り返る。
当時は大きかった制服も今じゃきついぐらいで、テカり具合が上級生を思わせる。
確か入学前に二人で写真を撮ったんだ。怖~い顔した尊と…。
そうだ。もう一度二人で撮ろ。今度はどんな顔をするだろう。
「「ただいまあ。」」
いつものように二人で帰ってきた。
家に帰って声を出したところで返事なんかあるわけがない。
まだおばちゃんは仕事だ。
でもいつもの癖でつい言ってしまう。