銀杏
先生は咲の肩を抱いて話しかけた。
「大丈夫よ。一緒に保健室行こう。今、みんなドリルやってるから誰も来ないよ。さ、立って。」
ゆっくりと立ち上がった咲を先生はしっかり抱いて言った。
「みんな同じよ。大人になった証拠。何も怖いことないからね。」
教室に戻った先生に尊は、「咲は病気?大丈夫なの?早退する?」と随分あれこれと聞いたらしく、後から、「すっごい心配してたよ。」と知らされた。
その日の夜、おばちゃんに呼ばれてリビングに下りた。
「そこ座って。熱いお茶飲む?」
「うん。」
おばちゃんはお茶を入れると咲の向かいに座った。