銀杏
高校ってスケールが違う…。
隣ではおばちゃんが「へー。ふーん。」と感嘆の声を上げている。
おばちゃんは体育館へ、咲は教室の方へと別れることになった。
「また後でね。」
クラスを確認し、校舎の地図を見ながら行くと、1ー5と書かれた教室を見つけた。
教室の中には20人くらいの人がいて、みんな何となく落ち着かない様子だ。
黒板には座席表が貼られ、見ると一番端の前から二番目。出席番号順らしく、相変わらずの席に小さくため息を吐く。
その席に座って窓の外を見ると、さっきおばちゃんと通ってきた正門が見えて、桜の木が何とも綺麗だ。
時折吹く風に乗って、花びらが一枚二枚と机の上に舞い降りた。
きゃー、この席最高かも。
一人喜んでいるとポンッと後ろから肩を叩かれた。