銀杏


「お腹はどう?痛くない?」

「うん。大丈夫。」

「そう、よかった。…あのね、お祝いをしようと思ったんだけど、先ずは咲ちゃんの気持ち聞いとこうと思って。」

「お祝い?」

「そうよ。お赤飯炊いてみんなでお祝いするの。」

「何で?」

「昔はね、子どもの死亡率が高かったからみんなでお祝いして喜んだんだろうね。」

「ふうん。尊も大人になったらするの?」

「尊は男だからねぇ。しないよ。子どもを産むのは女だからきっと昔から大事にされてたんじゃないかな。」

「そのお祝いをするって事は、おじちゃんや尊にもバレちゃうんだよね?」

「もちろん、そうなるね。」

「だったら…やだ。何か…恥ずかしい。」

「恥ずかしがることじゃないのよ。どっちみちおじちゃんや尊におばちゃんから言うよ。特に尊はわかってないだろうから、ちゃんと説明して大事にしなきゃいけないということを教えなきゃ。

じゃあ、お祝いはしない事にするね。」

言っちゃうのか。特に尊には言わないで欲しいのに、一番伝えなきゃいけないなんて。

「わかった。でもすぐには言わないで。」

おばちゃんは優しく微笑んで頷いた。




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