銀杏


毎日持っていくお弁当は二食分。おばちゃんは悲鳴を上げた。

少しでもおばちゃんの手助けになればと、休みの日は咲がお弁当を作ることにした。

「大丈夫かよ。腹壊したくないんだけど。」

自分の心配だけをする尊にムカついて、

「じゃあ、自分で作れば?」

と言ってやった。

フッフッフッ…どう?反論できないでしょ。…勝った!

「ごめんごめん。腹壊そうが不味かろうが食うからよろしくな!」

慌てて退散する。

…勝った気がしない。

尊の減らない口にため息が漏れた。

朝は咲の起きる頃に家を出るし、夕方帰るとすぐにランニングに行く。

夕食は入れ違いだし、全く顔を合わさない日だってある。

学校が違うというだけでこんなにもリズムが変わってしまう。

一緒に住んでるのに寂しく感じるなんて思ってなかった。

尊は寂しくないの?

咲の顔を見なくても平気?

休みの日ぐらい一緒に過ごせると思ってたよ。




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