銀杏
〈尊side〉
リーダーに選ばれて、一所懸命やればやるほど空回りする。
何がいけない?
誰が悪い?
先輩に責められ、顧問にはみんなをまとめろと言われる。
俺だって精一杯やってる。
だけど…誰も俺の言葉なんか聞いちゃいない。
何でなんだよ。くそっ!
もう、どうしていいかわからない。
風呂上がりの咲の顔を見たら、つい話があるなんて言ってしまったけど、自分で選んで決めたことに愚痴なんて言える筈がない。
それに咲に余計な心配はかけたくない。
なのに…
咲は俺の様子を見ただけで何があったのか見抜いていた。
咲の言葉が嬉しくて、改めて俺のことを一番理解してくれるのは咲だと確信した。