銀杏


俺より背の低い咲を抱き締めて、波立った心が平静を取り戻す。

俺の腕の中にスッポリと収まってしまう咲。

柔らかな体は力を込めると壊してしまいそうで。

同じシャンプーの香りが鼻を掠める。

咲…咲…

お前の優しさは俺の尖った心を丸くする。

誰も好きになるな。

俺の手の届くところにいろよ。

これ以上抱き締めていると歯止めがきかなくなりそうで、

そっと離れた。




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