銀杏
福田くんの入院
季節は夏へと移り変わる。
水はまだ少し冷たいけれど、これから大会に向けてしっかり泳ぎ込んでいかなければいけない。
人数が少ない分、一年生まで出ることになっている。
プールサイドで準備運動をしているときだった。
プチッ…
え…何?今の音。
音が聞こえた途端、部長の顔色が急に変わった。
眉間にシワを寄せ、険しい顔つきで叫ぶ。
「今のは誰だ!?」
部長だけでなく、音が聞こえたらしい先輩たちはみんな緊迫した表情をしてる。
確か福田くんの方から…と彼の方を見ても、キョトンとした顔をしている。
あれ…違った?
咲の視線に気づいた部長は「福田か!?」と彼に近づいた。