銀杏
小さい時おぶってもらったおじちゃんの背中は、大きくて暖かだった。
尊の背中はおじちゃんより華奢で、ごつごつした感じ。
北条さんは?
あと少しで駅に着くという時、北条さんは道路脇にバイクを停めた。
…?
「咲ちゃんの家はどこ?」
「え?あ、ここでいいです。歩いて10分くらいなんで。」
「ついでだから家まで送る。道案内して。」
有無を言わさずまた走り出す。
後ろから案内するために、少しでも聞こえやすいように更に北条さんの背中に密着した。
……。
北条さんは本当に家の真ん前まで送ってくれた。
「わざわざありがとうございました。」
ヘルメットを取って深々と頭を下げた。