銀杏
よくよく確認して炭酸でないことを確かめてから開けた。
「プッ。まだ覚えてたんだ。」
「忘れる訳ないじゃない。ベタベタになったんだから。」
「あの時の咲の顔。今思い出しても傑作だな。ハハ…。」
中学の時の大喧嘩。
何日も口をきかなくて、今日のような水泳大会の日に仲直りした。
あの時も“お祝い”と称してジュースで乾杯して…。
開けた途端吹き出して酷い有り様になったんだ。
「尊こそ、よく覚えてたね。」
顔を見合わせてクスクスと笑った。
「咲の泳いでるとこ、もう一回見てみたいけど、こう毎日クラブがあったんじゃなあ…。」
「三年生になったら見れるんじゃない?その頃には引退でしょ。」