銀杏
近くまで行って気がついた。
さっき尊がラケットを振った時にすぐ後ろで騒いでた子だ。…ということはこの人たちは試合を見てた人たち。終わるとすぐここへ来て尊を待ってたんだ。
うわー、尊どうすんだろ?
プリプリ怒ってた咲は影を潜めて、とにかく尊に知らせなきゃ、と電話をかけた。
「もしもし、尊?今正門から帰らない方がいいよ。凄いことになってる。」
『凄いこと?』
「女の子がいっぱい。」
『……へぇ、…大丈夫だろ自転車だし。さっと通り抜けりゃいい。』
…そんなにうまくいくだろうか…。
正門近くに試合に参加した人たちが集合した。
お互いに今日のお礼と挨拶をしている。
最後に緑ヶ丘テニス部リーダーが尊にこそこそ耳打ちをした。
尊も話を聞いて頷いている。
…何の話?
解散すると尊たちは自転車置場へ向かう。緑ヶ丘テニス部は女の子たちの前をガードするように、ズラリと並んだ。