銀杏
学校に近づくにつれだんだん人が多くなる。大抵が誰かと一緒で、一人でいる自分が場違いなような気にさえなってくる。
受付で招待券を渡し、先ずは尊の担当するブースへ向かった。
学校へ行く時間は伝えてある。すぐに見つかるといいんだけど。
受付でもらった地図を頼りに中庭を歩いていると、向かいから10人ぐらいのグループが何やら楽しそうに話しながら近づいて来る。
中央には男子が一人、頭一つ分出る格好で、回りは全て女子が取り囲んでいる。
へえ、あの人凄い。女の子があんなに群がってる。中央でヘラヘラ笑って…まるで女ったらし。最低。尊には絶対して欲しくない図だわ。
そう思いながら、目を合わさないようにすぐ横を通り過ぎた。
そうだ。尊に電話しよう。探すより手っ取り早い。