銀杏


「じゃあ、私が選んであげる。何選んでも文句言わない?」

「…早く選べよ。」

「あはっ!おばちゃん行こ。一緒に選んで。」




「ねえ、これとこれ。どっちがいい?」

「…こっち。」

「次。これは?」

「…こっち。」

だんだん尊のことがわかってきた。

たくさんの中から選ぼうとするから、どれがいいのかわかんなくて『何でもいい』になっちゃうんだ。

ニ択にするとちゃんと選んでくれる。

「おばちゃん。」

服を見ながらヒソヒソと言った。

「男って手がかかるね。」

ぷーっ!

おばちゃんは吹き出して、「咲ちゃんもそう思う?」とケラケラ笑った。




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