銀杏


フイッと顔を反らし、俯き加減で黙々と歩く。

北条さんは自転車を降り、押しながら咲の隣を歩く。

何か話をする訳でもなく、質問することもない。ただ黙って一緒に歩く。

「?」

不思議に思ってチラリと顔を見る。

何で一緒にいるの?用事があったんじゃないのかな。

「咲ちゃん、これから何か予定ある?」

不意に呼ばれてハッと顔を上げた。

「…いえ。」

「今から家に来ない?見せたいものがあるんだ。」

「…私に…ですか?」



北条さんは後ろに咲を乗せると自転車をこぎ出した。
咲はただ黙って北条さんの腰に掴まり揺られている。

乗せてもらうの二回目だ。前はバイクだった。尊と違って、大人で落ち着いてて、安心する。尊も安心するんだけど…ちょっと違う。年上だから…?よく…わかんない。




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