銀杏
自転車が止まり「着いたよ。」という声にハッとする。
大きな門を開け、自転車を中に入れる北条さんに続いて入って行く。
きれいに手入れが行き届いてる庭。少し奥に行くと色とりどりのコスモスが植えられた花壇がある。
北条さんは屋根つきのガレージに自転車を置くと「こっち。」と言って花壇の前を通り、テラスへと案内した。
その一角に大きな箱が置いてある。そこに近づいて腰を屈めると「ただいま、ハナ。」と手を差し出した。
犬…?
手招きをする北条さんは口元に人差し指を立てて、しーっとすると咲をその箱の前に座らせた。