銀杏
受付で生徒の家族だと言っても、招待券がないから駄目だと断られてしまった。
尊の名前を出しても――
「さっきから『天宮尊の家族だから入れてくれ』て言う女の子が続出なの。明らかに家族じゃないのよね。だから悪いけどあなただけ特別扱いはできないわ。」
そんな…。
こうなったら仕方がない。ひたすら尊に電話をかけ続けた。
4件のメールを送り、13回目のコールをした時だった。
『はい。』
よかった。やっと出た。安堵のため息が洩れる。
「今、正門にいるの。中に入れないから迎えに来て?」
それだけ言うといきなり電話は切れてしまった。
来てくれるかな…。
不安になりつつ待つこと15分。やっと姿を現した尊は憮然とした態度でやって来た。
開口一番「何しに来たの?」と冷たい視線と共に投げつけられる言葉。