銀杏
「クラブで行うブースの宣伝を無理やり先輩に押しつけられたんだ。その上条件までつけられた。」
『10人以上連れて来い。でないと今日一日中宣伝させるぞ。』
無茶な条件の裏には先輩との練習試合で勝ったことにあった。
『先輩を負かすなんて後輩の風上にも置けない奴め。罰だ。女の子10人集めて来い。』
『ろくに女の子と話もしたことないのに、どうやって集めるんすか?』
『適当にチラシ配りながら、にっこり笑って“来てね”なんて言えば勝手について来るだろ。』
無責任な言いぐさにムカつきながらもブースを追い出されて、仕方なくブラブラ歩きながら正門に咲を迎えに行くと、何を勘違いしたのか、ぞろぞろと先輩の言った通りについて来たんだ。
「そこにお前が居合わせた。それだけだ。わかったか?そんなに妬くとは思わなかったぞ。」