銀杏
「きゃはは…くすぐったい~。」
「こら、やっぱり狸寝入りしてたな。」
「えー、バレてたの?つまんない。」
ガバッと起き上がって口を尖らせた。
「随分遅かったね。寄り道でもしてたの?」
「…寄り道…て言うか…引き止められてたと言うか…。」
「へー、何で?」
「…咲と一緒だったから。」
「は?家族だって言えば済むことじゃない。」
「そう言ったところで簡単に、はいそうですかと引き下がる連中じゃねえの。あれこれ訊かれて参った…。あー、疲れた。咲、癒して。」
「えー?どうしよっかなあー。」
悪戯心で焦らしてみる。
「ほら早く。」
強引に膝の上に頭を乗せる尊。
小さな子どものように甘える尊のこんな姿を知ってるのは、私だけなんだよね?