銀杏
「おー、俺って偉かったんだ。ご褒美ちょうだい。」
「はあ?何言ってんの。ちょっと褒めるとすぐこれだ。もう寝る!退いてよ。」
「咲~。俺、お前のお願いきいてやったろ。俺のお願いはきいてくれねえの?」
「だって今日は文化祭だったじゃない。試合じゃないもん。」
「んじゃ、夏休みの練習試合の分ということで…。」
「ええ!?そんな前の話…。」
話の途中で顎を掴まれて、くいっと尊の方へ顔を向けられるといきなり唇に…
キスされるかと思った。
今度もまた左の頬にキスをして「寝る!」と言って部屋を出て行く。
その素早さに呆気にとられた。
尊の行動に笑いが込み上げる。
不器用で…
ぎこちないやり方。
キスをしたものの、その後すごい恥ずかしくなるんだね。
今頃部屋で一人真っ赤になってるんじゃないだろうか。
そんな尊を想像すると、クスクスと笑いが止まらなくて、ほっこりとした気持ちで眠りに就いた。