銀杏
あれから二週間が経った土曜日の夜。
リビングで二人でDVDを観ているとケータイが鳴った。
「はい。あ、こんばんは。…はい、文化祭とか試験とかあって…はい、行きます!!うわあ、楽しみ!明日2時ですね?わかりました。それじゃ…おやすみなさい。」
電話を切ると尊はすかさず「誰?」と訊いてきた。
「ん?北条さん。あの…ほら、福田くんの幼なじみ。会ったことなかったっけ?」
「前にバイクで家まで送ってもらった奴か?」
「うん、そうそうその人。この間飼ってる犬が仔犬生んで、成長が早いからまた見に来ないかって。」
「……ケータイの番号や家教えたり、いつからそんな仲な訳?」
え…
尊の不機嫌な物言いにドキリとする。