銀杏


目の前に私がいたことに驚いて飛び起きた。

「な…何で咲がいんだよ!?母ちゃんは?」

「あんたの母ちゃんは忙しいから代わりに起こしてあげたの。早く用意しないと遅れるよ。」




「おはよ。」

「おはよう。珍しいね、尊。行事の度に早起きなのに。さては嬉しすぎて寝つけなかったんでしょう。はい、お弁当。母ちゃん、洗濯してくるから。」

尊と並んで二人で朝食。いつもならおばちゃんが側にいてくれるのに、洗濯に行っちゃった。

落ち着かない。

チラリと尊に目をやると、私のお皿を見てる。

いつかのように大事にとっておいたウインナーは盗られたくない。

ススス…とお皿を尊から遠ざけた。




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