銀杏


「お弁当作ってくる。まだゆっくりしてていいよ。」

ベッドから出ようとして腕を掴まれた。

「今日は…いいよ。何か買う。」

「え?何で。」

「まだ…咲とゆっくりしたい。」

そう言うとぐいっと引っ張られて、尊の上に覆い被さるように倒れた。

「…じゃあ、後一時間。」

何だか胸の奥がくすぐったい。

恥ずかしいような、
嬉しいような。

二人で天井を見上げていると下で足音が聞こえる。

あ…おばちゃん起きたのかな。

すると二階に足音が迫ってきた。

ドキン…

二人で顔を見合わせる。

ヤバい!

きっとこの言葉が同時に頭に浮かんだに違いない。




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