銀杏
第四章
手がかり
約束通り北条さんの家に来た。
尊に北条さんに関することを話すと、いつも渋い顔をするから、尊がクラブに行ってから出かけることにした。
仔犬たちはたった二週間で犬らしくなってる。
動物の愛らしさは誰が見ても可愛いと思うように、その親もあまりの愛らしさから、面倒をみるようになっていると聞いたことがある。
もう動くぬいぐるみとしか言いようがないぐらい可愛い。
まだ歯も生えてないし、まともに歩けない。まるでハイハイをしているみたいだ。
「もうこんなに大きくなってるんですね。可愛い。」
「口許に指持っていってごらん。吸い付くから。」
「ホント?…うわっ、本当だ。すごい。」
結構力強く、舌を巻きつけて吸ってくる。
一所懸命吸う姿は何とも言えない不思議な気分にさせられる。