銀杏


飾られた花からはいい匂いが漂う。

はあ、素敵。
こんなに大きくて綺麗なお家が羨ましいよ。



通されたリビングでは北条さんのお母さんがお茶の用意をしてくれている。

「いらっしゃい。」

「は…初めまして。突然お邪魔してすみません。」

ペコリと頭を下げる。

「まあ、そんなに固くならないで。貴士にこんな可愛らしいガールフレンドがいたなんて知らなかったわ。
どうぞこちらにお掛けになって。」


出されたお茶はとてもいい匂いがした。
一口飲むと口いっぱいに甘い香りが広がる。

「あ…苺の香り。」

「お気づきになって?これストロベリーティーなのよ。私のお気に入りなの。
そうそう、自己紹介がまだだったわね。私は貴士の母です。」




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