銀杏
バスに乗り込み、いざ高原へ向けて出発。みんな浮かれ気分で賑やか。
尊は補助席に座るはめになった私を横から突ついた。
「何よ?」
「俺、今から寝るからサービスエリアに着いたら起こせよ。」
「寝る…て、出発したばっかじゃん。」
「夕べ寝れなくて…ふぁー。」
大きな欠伸をすると目を閉じた。
今日の林間学校が楽しみで眠れなかったのかな。おばちゃんの言ってた通りだ。
バスが高速に乗ってしばらく経ったところで、予め最前列にいたレクリエーション係がマイクを持った。
「今から歌を歌います。歌集の中から歌いたいものを選んでくださーい。」
声の上がったものから順にみんなで歌っていく。アニソンから最近流行の曲まで。誰かが、「水戸黄門!」なんて言うからそれは流石に歌集にないだろう…て思ってたら、「では10ページ。」と司会が言った。
嘘!?あるの?これ小学生が歌うかあ?
なんて思いながらみんな歌ってるし。てか、私もだけど…。