銀杏


バスに乗り込み、いざ高原へ向けて出発。みんな浮かれ気分で賑やか。

尊は補助席に座るはめになった私を横から突ついた。

「何よ?」

「俺、今から寝るからサービスエリアに着いたら起こせよ。」

「寝る…て、出発したばっかじゃん。」

「夕べ寝れなくて…ふぁー。」

大きな欠伸をすると目を閉じた。

今日の林間学校が楽しみで眠れなかったのかな。おばちゃんの言ってた通りだ。

バスが高速に乗ってしばらく経ったところで、予め最前列にいたレクリエーション係がマイクを持った。

「今から歌を歌います。歌集の中から歌いたいものを選んでくださーい。」

声の上がったものから順にみんなで歌っていく。アニソンから最近流行の曲まで。誰かが、「水戸黄門!」なんて言うからそれは流石に歌集にないだろう…て思ってたら、「では10ページ。」と司会が言った。

嘘!?あるの?これ小学生が歌うかあ?

なんて思いながらみんな歌ってるし。てか、私もだけど…。




< 31 / 777 >

この作品をシェア

pagetop