銀杏


仔犬たちは歯も生えてきて、ハナちゃんはあまりおっぱいを飲ませなくなっていた。それでもお母さんのおっぱいは大好きなのか、仔犬たちは吸い付こうとする。そんな仔犬をハナちゃんは噛みついて、怒っているみたい。

「おっぱいを噛みつかれて痛いんだよ。もう乳離れの時期だしね。」

「へえ…そうなんだ。」

繋がれてない仔犬たちはやんちゃ盛り。ぬいぐるみをくわえて取り合いをするし、じゃれ合ってお互いに噛みついたりしてる。自分の尻尾に興味を示して、どうやってもくわえることができなくて、コテンと仰向けに転けてみたり。いつまで見てても飽きることがない。

でも…

「はーっくしょい!!」

豪快なくしゃみが出て、一瞬犬たちの動きが止まった。

「あはは…でっかいくしゃみ!」

北条さんはゲラゲラ笑うし、犬たちは驚いてこっちを見るし、恥ずかしいったらありゃしない。

寒かった筈なのに、一気に顔が熱くなった。




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