銀杏


それにしても尊はあれからずっと寝てる。煩くないのかな。大合唱の中でよく寝れるよね。

顔を覗くと口が半開きで何とも無防備な顔。

小さい頃とおんなじだ。

尊から視線を外し、前を向いた時だった。

トン…と何かが右肩に触れ、いきなりずっしりと重くなった。

ええええ―――!?

う…重い。

尊が私の肩に寄りかかったのだ。

尊ってば重いよ!

押し返したけど、バスが揺れるとまたもたれてくる。

何回か繰り返すうち、1回目のトイレ休憩になった。

「尊、尊、着いたよ。」

ゆさゆさと揺さぶっても今朝と同じでなかなか起きない。




< 32 / 777 >

この作品をシェア

pagetop