銀杏
それにしても尊はあれからずっと寝てる。煩くないのかな。大合唱の中でよく寝れるよね。
顔を覗くと口が半開きで何とも無防備な顔。
小さい頃とおんなじだ。
尊から視線を外し、前を向いた時だった。
トン…と何かが右肩に触れ、いきなりずっしりと重くなった。
ええええ―――!?
う…重い。
尊が私の肩に寄りかかったのだ。
尊ってば重いよ!
押し返したけど、バスが揺れるとまたもたれてくる。
何回か繰り返すうち、1回目のトイレ休憩になった。
「尊、尊、着いたよ。」
ゆさゆさと揺さぶっても今朝と同じでなかなか起きない。