銀杏


私の体調も少しずつ良くなっていき、回復に合わせて体を動かすようになると、それまで苦手だった料理を雪乃さんに教えてもらったりした。

体調が元通り元気になっても、雪乃さんにはいてもらいたくてお願いすると、快く承諾してくれた。

家族のいない自分に、家族のように接してくれる北条家の人間が大好きで、離れたくないと彼女は言った。

結果、7年間ずっと本当の家族のように過ごしてきた。

私たち全員が雪乃さんがいて当たり前の生活。家族で出かける時も必ず一緒で、もう彼女抜きでは考えられなかった。

それが突然辞めると言い出して、当初は本気にしていなかった。

何度も頼み込むので、理由を訊いても一切言わず、謝るばかり。

行く宛てがあるのかと訊くと「はい。」と返事をする。
でも7年も一緒に住んでいて、嘘を見抜けない筈がない。




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