銀杏
首を縦に振らない私たちに、最後には涙を流しながら懇願した。
とうとう私たちが折れて承諾したものの、次の仕事が見つかるまではここにいることを条件に出した。
その時は彼女も納得した様子だった。
でも朝起きると、置き手紙一枚残して、荷物はなくなっていた。
雪乃さんが突然いなくなったことがショックで、裏切られたような気分だった。
あんなにお願いしたのに…。
私たちは雪乃さんを必要としてたのに…。
なぜ理由も言えないの…?
娘ができたみたいで嬉しかったのに…。
雪乃さんにとっては、私たち家族はその程度の関係でしかなかったの…?