銀杏


補助席の私は先に降りなきゃいけなくて、仕方なく尊を置いて外へ出た。

みんなが出るのを待って、もう一度起こしに行った。

考えてみれば、何で尊のために私がこんなことしなきゃいけないのよ。

…て普通なら思う。でもやらなきゃ滅茶苦茶不機嫌になるんだもん。…尊の召し使いじゃないんだからしなきゃいいのに、しなけりゃしないで気になるんだ。

尊も気ままだけど私もバカ…。

「尊!起きろ!!」

両耳を引っ張り叫んでやった。

「うおっ!びっくりしたぁ。」

「もう。トイレ休憩だよ。早くしないと時間ないよ。」

「えっ。マジ!?」

尊は私を突き飛ばし、慌ててバスを降りた。

あいたあ。酷いじゃない。私だってトイレまだなのに。もうっ、尊なんか嫌い!!




< 33 / 777 >

この作品をシェア

pagetop