銀杏
「てっきり?…何、言ってみ?」
「……」
ゴニョゴニョと口ごもる。
「あー、わかった。ナンパだと思ったんだろ?」
言い当てられて、カァーッと顔が熱くなる。
赤い顔をプイッと背けて、プーッと膨れた。
「意地悪!」
「ハハハ…そう怒るなって。」
頭にポンポンと手を乗せられて、胸の奥がトクン…と鳴った。
上級者でもある北条さんは、咲が何とか滑れるようになるまで、付きっきりで教えてくれた。
きっと上からスイスイ滑りたいのだろうと思って言っても、
「今日は咲ちゃんのために来たんだから気にしなくていい。」
と一度滑ったきりでずっと傍にいてくれた。