銀杏
「タカさんからもらった犬だよ。」
そうだった。福田くんが一匹もらったんだっけ。
「…じゃあ、今度見せてもらっていい?」
「うん、勿論!」
何だか嬉しそう…。
「で?」
は?…“で?”て何?
「何でタカさんとこ行ってるの?」
ああ、本題はそれか。あんまり言いたくないなあ…。
返事に困っていると、福田くんは足を止め、真剣な面持ちで咲を見つめる。
何?…どうしたの。
「福田くん?」
「タカさんのこと…好きなの?」
あまりの唐突な質問に頭がついていかない。
黙ったままでいると、福田くんは「…そっか。」と視線を逸らした。
何が“そっか”なんだろう。何て思った?