銀杏


「…そうなんだけど…私、親いないから。」

「え…あ…。ごめん。」

「ううん。気にしないで。ちゃんと親代わりに面倒見てくれる人がいるし、同い年の子どもがいて、兄妹みたいに育ったから全然寂しくないよ。」

「そうか。…でもさ、何かあったらいつでも相談のるから。一文字の話だったら真夜中でも飛んで行くよ。」

「真夜中~?それはちょっと困るかも…。ふふ…でもありがと。そんな風に言ってくれて嬉しいよ。」



福田くんの話は、どうやら北条さんに関することだったらしく、他愛もない話をしながら歩いて行く。

途中別れ道で、なぜか送ると言ってきかない福田くんに、変なのと思いながら家の前まで送ってもらった。




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