銀杏


「いつまで隠すの?辛くない?」

「尊に『今はテニスに打ち込みたい』て言われた。『今できることを一所懸命したい』て。それに…」

「?」

「気になってる人がいるの。」

「…え。」

「お母さんが独身の頃働いてた家の息子さん…。」

「好きってこと?」

「それが…よくわからないの。歳が離れてるせいなのかもしれない。優しくて、穏やかで、包み込んでくれる雰囲気があって…。尊といるとしょっちゅう喧嘩だし、意地悪されるし…。」

「そっか。ま、天宮くんもテニス一筋みたいだし、ゆっくり考えれば?」

「うん。」

ズーッとジュースを飲み干した。




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