銀杏
「次は眉毛を描いてください。」
眉毛ね。あれ、うまく描けたのかな。もう一回描いちゃえ。えっと左も描かないとね。おんなじように二回…と。
「では最後。口紅をつけて完成です。」
おばちゃんに頼んで使わないのを借りた。真っ赤な口紅。
両手で探して左手で掴んだ。キャップを外して下の部分をほんの少し回した。
「うわっ、真っ赤じゃんこれ。母ちゃん、こんなの持ってんのかよ。」
「ほら、口閉じて。いくよぉ。」
ぐいっ。
大胆に唇であろう場所につけた。
「はい終了。では手鏡で確認してください。」
黒い布を外し、尊が覗いた鏡を後ろから見た。