銀杏


じっと見つめられて少しドキドキした。

何でそんなにじっと見るの?
ふんわりとした笑顔、包み込むような瞳。
恥ずかしくなって俯いた。

「…綺麗な癖のない髪だな。それは誰に似たんだ?」

「え?…さあ、わかりません。」

「……」

「幼なじみのお母さんが言ってました。母は私を見て、好きな人に似た部分を見つけては嬉しそうだったと。
もしかしたら髪はその人に似てるのかも。」

「…そうか。雪乃は癖毛で、まっすぐな髪がいいとよく言っていたからな。」

「……あの…」

「?」

「どうして母と仲がよかったの?おばさんや北条さんからは聞いてない話をよく知ってるのはなぜ?」

「…そういう環境にあったから。自然にそうなった。」

「……」

「雪乃が来た頃の話をしようか…。」




< 385 / 777 >

この作品をシェア

pagetop