銀杏
「……」
「…結局そういうことか。俺は利用されたんだな。」
「違っ…!」
「何が違う?答えないということはそういうことだ。出ていけ。」
「お願い!待って!話を聞いて。」
博貴は咲の言葉などお構いなしに手首を引っ張って追い出そうとする。
「お前に話すことはもうない。」
「私にはあるの!一つだけ…一つだけでいいから答えて。お母さんが好きだった人は誰?」
「…何故そんなことを訊く?」
「お母さんがここを辞める時、私がお腹にいたかもしれないから!…誰がお父さんなのか知りたいの。」
「……そんなことは俺が知りたい。」
咲は部屋を出されるとドアが冷たくバタンと閉じられた。