銀杏


「焦る必要はない。とりあえず今回の誤解を解いてからでいいだろ。
……なあ、咲。お前はカウンセラーでも何でもない。ただの一高校生だ。あまり相手の心の奥深くまで関わるなよ。」

「うん、わかってる。
…ありがと、尊。気持ちが落ち着いてきた。そんなに焦ってるつもりはなかったんだけど、冷静に考えると焦りがモロに出てるよね。」

「気持ちが落ち着いた割には浮かない顔だな。」

「え……うん。」

深いため息を吐くと、向かい合わせに座っていた態勢から、そのままゴロンと横になった。

側にあったクッションを抱いて顔を埋める。

「何だよ?言えよ。」

「……自己嫌悪。」

「ん?どうした。」

尊は咲の傍に移動すると頭を撫でた。

「だってね…、中学までずっと尊に頼りっぱなしで、高校が別になったのを機にもう頼らないって決めたのに…やっぱり頼りにしてる自分がいて…嫌になった。」




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