銀杏


やっぱり尊が一番落ち着く。

尊の胸に頭を預けて鼓動を聞く。

トクン…トクン…トクン…

優しい音。

いつもこの音を聞くと安心する。

尊の腕の中…
ふわふわ…ふわふわ…夢心地
気持ちいい
暖かい
ずっとこのままでいたい

「尊。」

「何?」

優しく穏やかな声で顔を覗き込むように言う。
耳に息がかかる。
くすぐったい。

「えへっ!何でもない。呼んでみただけ。」

「何だそりゃ。すぐ傍にいるのに。」

二人だけの優しい時間が流れる。会話なんかなくても通じてる、そんな感じ。



………。

いつ眠ったんだろう。
気がつけば、ちゃんとベッドに入ってた。
当然、尊はいなくて…寂しい。

耳をすますと雨の音がする。

いつから降ってたんだろう。久々の雨。空を見るとどんよりとした雲。今日は一日こんな天気かも。




< 404 / 777 >

この作品をシェア

pagetop