銀杏
やっぱり尊が一番落ち着く。
尊の胸に頭を預けて鼓動を聞く。
トクン…トクン…トクン…
優しい音。
いつもこの音を聞くと安心する。
尊の腕の中…
ふわふわ…ふわふわ…夢心地
気持ちいい
暖かい
ずっとこのままでいたい
「尊。」
「何?」
優しく穏やかな声で顔を覗き込むように言う。
耳に息がかかる。
くすぐったい。
「えへっ!何でもない。呼んでみただけ。」
「何だそりゃ。すぐ傍にいるのに。」
二人だけの優しい時間が流れる。会話なんかなくても通じてる、そんな感じ。
………。
いつ眠ったんだろう。
気がつけば、ちゃんとベッドに入ってた。
当然、尊はいなくて…寂しい。
耳をすますと雨の音がする。
いつから降ってたんだろう。久々の雨。空を見るとどんよりとした雲。今日は一日こんな天気かも。