銀杏
真聖と貴士と博貴の想い
朝、学校に着くと福田くんの教室へ向かった。
2年になってクラスは別々だ。
教室の出入口付近にいる人に頼んだ。
「おーい、福田ぁ!彼女がお呼びだぞー!」
げっ!何つーこというのよ、この人はっ!
声、でかっ!
一斉に見られて恥ずかしいったら…。
それに彼女じゃなーい!!
言い訳しようとしたら、福田くんが来た。
「何?」
「き…昨日はごめんね?あの後、尊にはちゃんと…」
「ホント、一文字には悪いけど俺にとっちゃ印象最悪。」
いつもなら『気にすんな』て返してくれそうなのに、随分はっきりとした物言いに落ち込んだ。
「一文字は気づいてないかもだけど、以前にも睨まれたことはあったんだ。」
え…?
「気のせいかもと思ってたけど、そうじゃなかったんだな。」
「あの…」
「君の傍にあいつがいる限りきっと邪魔ばかりするんだろ。俺の話は今はしない。また頃合いを見計らってするよ。」