銀杏
「さあ、どうだろ?」
「去年、咲の応援してる時に反対側の席から『咲――っ』て声聞こえた?」
え…?
「……」
「咲を応援するなんて私たちだけだと思ってたのに、ビックリしちゃった。家族の人?」
「あ、うん。」
「今年も来る?」
「さあ?」
「…もし来たらさ、お願いがあるんだけど。」
「何?」
「こらー!そこ、聞いてるのか!?」
ひっ!叱られた。
あ~あ、今日は注意されてばっかりだ。ついてなーい。
大会メンバーの発表では予想通り咲はメドレーだった。
ミッチがやって来た。
「やっぱりメドレーだったね。」
「うん。」
「うちの水泳部ってオールマイティに泳げるのは女子では咲だけじゃん。男子では福ちゃんだけどさ。
昔、習ってたの?」
「ううん。」
「えー!?やってないのに泳げるって凄くない?あ、じゃあ両親のどっちかが教えてくれたとか。」