銀杏


「……親じゃないけど、幼なじみのお父さんが夏休みとかに教えてくれたの。自分の子どもは水泳に興味ないからって。」

「へえ、そうだったんだ。
…あのさ、さっきのお願いだけど…」

「あ、そうだ。何?」

「応援してたのってお兄さん?」

「ううん、幼なじみ。」

「え?家族って…。」

「うん。事情があって居候の身。」

「…ふうん。彼、どんな人?好きな人とかいる?」

「どんな…て。そうだなあ、優しいけど怒ると怖い。ちょっと短気かな。それから甘えたなとこある。」

「男の人って大抵怒ると怖いし、甘えたじゃん。
スポーツは何かやってる?」

「…テニス。」

「へえ。ね、紹介してよ。彼、かっこいいじゃない?」

何か…やだな。
根掘り葉掘り訊かれてムカついてきた。

「……悪いんだけど紹介できないよ。今はテニスに打ち込みたいって聞いてるし、女の子と付き合うような時間もないみたい。」




< 408 / 777 >

この作品をシェア

pagetop