銀杏
「……親じゃないけど、幼なじみのお父さんが夏休みとかに教えてくれたの。自分の子どもは水泳に興味ないからって。」
「へえ、そうだったんだ。
…あのさ、さっきのお願いだけど…」
「あ、そうだ。何?」
「応援してたのってお兄さん?」
「ううん、幼なじみ。」
「え?家族って…。」
「うん。事情があって居候の身。」
「…ふうん。彼、どんな人?好きな人とかいる?」
「どんな…て。そうだなあ、優しいけど怒ると怖い。ちょっと短気かな。それから甘えたなとこある。」
「男の人って大抵怒ると怖いし、甘えたじゃん。
スポーツは何かやってる?」
「…テニス。」
「へえ。ね、紹介してよ。彼、かっこいいじゃない?」
何か…やだな。
根掘り葉掘り訊かれてムカついてきた。
「……悪いんだけど紹介できないよ。今はテニスに打ち込みたいって聞いてるし、女の子と付き合うような時間もないみたい。」