銀杏


「……。」

「訊きたいことがあるの。初めて会った時、雪乃の娘だと言ったら、ばかばかしいと答えたのはどうして?」

「……雪乃は結婚なんかしないと信じていたから。母や貴士から聞いて、俺を…からかいに来たのか、家の財産を狙いに来たのか。そんなとこだろうと思っていた。あの家は外見は大きいし外車はあるし、裕福に見えるんだろう。確かに雪乃がいた頃は羽振りはよかったみたいだけど、今はね…。」

「……。」

「雪乃の娘というのは嘘で、浅はかな娘が邪(よこしま)な考えで取り入ろうとしていると思った。だからばかばかしいと言ったんだ。」

「……。」

「だけど、高校生がたった一人で乗り込んで来るなんてあり得ない。
それに雪乃のことはどうやって知ったのかと思うと、きっと本当に娘なのだろうと…。」

「信じてもらえて…よかった。」




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