銀杏


「尊のこと、どうして知ってるの?」

「貴士が話をするのが聞こえた。表札の名前が『天宮』になってたとか、同い年くらいの男の子と一緒に住んでるとか。それに時々君の口から『尊が…』て出てきたから。」

「…そうだったかな?」

「で、俺が水泳やってたのはどうやって知った?」

「福田くんから…。」

「福田?貴士が家庭教師やってた真聖か。」

「はい。」

「余計なことを…。」

「私も水泳やってるんですよ。今度の大会でメドレーに出るんです。」

「へえ、そうか。一番得意な泳ぎは?」

「んー、バタフライ…かな。」

「珍しいな。自由形とか平泳ぎかと思った。」

「だってバタフライってやる人少ないから、上位を狙える確率が大きいじゃないですか。」

「ははっ…そういうことか。」

「えへへ…」




< 422 / 777 >

この作品をシェア

pagetop