銀杏
「尊のこと、どうして知ってるの?」
「貴士が話をするのが聞こえた。表札の名前が『天宮』になってたとか、同い年くらいの男の子と一緒に住んでるとか。それに時々君の口から『尊が…』て出てきたから。」
「…そうだったかな?」
「で、俺が水泳やってたのはどうやって知った?」
「福田くんから…。」
「福田?貴士が家庭教師やってた真聖か。」
「はい。」
「余計なことを…。」
「私も水泳やってるんですよ。今度の大会でメドレーに出るんです。」
「へえ、そうか。一番得意な泳ぎは?」
「んー、バタフライ…かな。」
「珍しいな。自由形とか平泳ぎかと思った。」
「だってバタフライってやる人少ないから、上位を狙える確率が大きいじゃないですか。」
「ははっ…そういうことか。」
「えへへ…」